
私たちがサポートします Job Description
理学療法士
生まれたばかりの赤ちゃんのリハビリとは、どんなことをするのでしょうか?
赤ちゃんは生まれると同時に今までお母さんに頼っていた体の機能をすべて自分の力で行うことになります。特に早く小さく産まれた赤ちゃんやなんらかのトラブルを抱えた赤ちゃんにとっては呼吸をするだけでも大変な状況です。そのため、余分な力を使わなくてすむようになるべくお母さんのお腹の中の環境に近い、暗く静かで暖かな包まれた環境にしてあげることが必要です。その上、NICUで治療を受ける赤ちゃんは点滴や注射などの必要な治療などによりストレスを感じることが多く、泣いたりジタバタしたりして通常よりも酸素の消費量が増え、体力を消耗してしまうこともあります。リハビリでは赤ちゃんが少しでも楽で安心できる丸く包まれた姿勢をとる工夫を考え、赤ちゃんの呼吸や心拍が整った状態で過ごせることを目指します。
また、後々赤ちゃんが元気になったり大きくなったりして、自力でいろいろなことができるようになることを想定し、定期的に手足を動かしたり、姿勢を変えたりします。周りが見渡せて興味あるものに手を伸ばしたり、自分で体の向きを変えて行きたいところに移動できるような発達を促せる姿勢をとる工夫を考えます。その時の力の入り具合や左右の違いなどを確認して好きなことや嫌いなこと、得意なことや苦手なことを感じ取ります。
赤ちゃんは1人1人好きな姿勢も好きな遊びも異なるため、1人1人のその時々にあった姿勢や遊びは何なのか、小さくても発してくれるいろいろなサインを見極めて、意欲や動きが引き出せ、赤ちゃんの世界を広げていけるように関わります。もし、ミルクを飲むことが上手くいかない赤ちゃんには飲み方を練習することもリハビリの役割になることがあります。
そして、退院が近づいてきたらお家に帰る準備をします。リハビリでは、酸素や呼吸の機械の助けが必要な赤ちゃんがお家に帰る場合に、移動時にどうやって抱っこすると良いか、ベビーカーに乗るときはどうするか、自動車に乗るときはどうするかなどの移動時の方法について考えます。自動車もお家もみんな違うのでご家族にご協力頂き、時には実際に自動車に乗ったり、お家に伺ったりして準備をし、ご家族が赤ちゃんと一緒に暮らすイメージを持った上で退院が迎えられるように援助します。
薬剤師

当院では、産科病棟、MFICU、NICU、GCUそれぞれに薬剤師を配置し、お母さん、赤ちゃんに安心・安全な薬物治療が行われるよう支援しています。
産科病棟、MFICUでの薬剤師の仕事
妊娠中や授乳中に薬を使用する際には、使用する時期(妊娠初期~後期、授乳期)や使用する量、母乳への薬の移行性など、妊娠・授乳期に特徴的な注意点があります。また、ハイリスクの妊婦さんに使用する薬の中には副作用の出現しやすい薬や、血中の薬剤濃度を厳密に管理する必要のある薬もあります。薬剤師は薬の専門家として、適宜必要な薬の情報を医師・看護師に提供するほか、妊婦さんへの薬剤指導、副作用モニタリングを行い、有効な薬物療法がより安全に行えるように支援しています。また、妊娠・授乳中の薬の使用に関しては不安を感じる妊婦さんも少なくありません。当院は妊娠と薬情報センターの拠点病院の一つであり、希望する方には、妊娠期・授乳期の薬の使用についてのより詳細な情報を提供しています。
NICU、GCUでの薬剤師の仕事
NICU、GCUで使う薬の中には、新生児への用法・用量が添付文書に記載されていないものも多く、また、赤ちゃんによっては非常に多くの薬が併用される場合もあります。薬剤師は、使用されている、あるいは使用を予定している薬の投与量や投与方法、配合変化、副作用などの確認や情報の収集、医師や看護師に情報提供を行い、薬が適正に使用されるよう支援しています。また、病棟内に設置したクリーンベンチにて、中心静脈栄養などの注射薬を無菌的に調製し、より安全に薬剤が供給されるよう努めています。
NICU、GCUに入院する赤ちゃんの中には、退院後も薬を継続する必要がある子もおられます。退院後も薬が安全に使用できるよう、薬の効果、注意点についてご家族に説明する他、退院までに服用手技が習得できるよう看護師と共同して指導を行っています。
臨床工学技士
MEセンター
総合周産期医療センターには、人工呼吸器(約11台)、保育器(25台)、シリンジポンプ(約50台)、一酸化炭素ガス管理システム(2台)など、多くの医療機器が設置されています。周産期で使用される機器は特殊であり、維持管理が難しいものも多数あります。臨床工学技士は、医療機器の安全確保の担い手として、上記の医療機器に加え、ECMO、新生児特有の医療機器などを安全に使用できるように保守点検、維持管理をしています。
管理栄養士
栄養治療室
栄養治療室は、病院の管理栄養士10名が各病棟を担当し、患者さんの食事の状況などを含め、栄養管理を行っています。給食委託会社と協力し、治療の中でも楽しみとしていただける食事を目指して、季節感のある食材や行事食を取り入れ、おいしく安全な食事提供を行っています。
栄養管理業務
妊産婦さんへ食事相談を行い、必要な食事量や栄養量を摂取できるよう、食べ方の工夫など様々な提案を行っています。また、退院後の離乳期や幼児期の食事についても、医師や看護師、臨床心理士などの職種と連携をとりながら対応します。
調乳業務
安全に病棟へミルクをお届けできるよう衛生管理を徹底し、調乳を行っています。また、医師の指示に従い、赤ちゃんの状態に応じて、特殊ミルク(アレルギー用、胃食道逆流症用など)の対応もいたします。
災害時のミルク管理
災害時にもミルクを提供できるよう非常食を準備しています。
放射線技師
~ 多くのお子様の明るい未来のために ~
診療放射線技師は周産期医療を画像検査でサポートします。
X線撮影、CT、MRIなど画像診断や治療において多くの臨床画像を提供し、チーム医療の一躍を担うのが我々、診療放射線技師です。特に新生児、乳幼児の画像検査では、知識、高いスキルが要求されるため日々、自己研鑽に努めています。
写真の中央には、ポータブルX線装置が写っています。本装置は、横や支柱に多くの動物キャラクターを装飾することで、移動中はお子様にも親しまれています。さらに安心して検査を受けていただけるようになり、大いに活躍しています。
我々、診療放射線技師は、医師・看護師とは異なり、患者様とは検査の時間しか接することはありませんが、多くの患者様が一日も早く元気に退院できるよう、質の高い画像検査や治療を提供し微力ながらサポートしています。
臨床検査技師
われわれ検査部スタッフ一同は、外来および入院患者さんの臨床検査を担う専門家として、患者さんへの最良の診断・治療に貢献できるよう日々努力しております。
周産期医療においても、生まれてきた赤ちゃんや出産前後のお母さんの身体の状態を知る上で、臨床検査は欠かせない存在です。検査部では、先生方が赤ちゃんやお母さんを診察される際に必要となる検査結果を正確かつ迅速に提供できるように24時間体制で対応しています。また、急遽、赤ちゃんやお母さんに輸血が必要となった場合にも、適性で安全な輸血ができるように24時間体制で対応しています。
臨床検査には、検体検査(血液検査、生化学・免疫検査、尿検査、微生物検査、遺伝子検査)、輸血検査、病理検査、生理機能検査(心電図、脳波、超音波検査など)があり、非常に多岐にわたっています。また、新生児マススクリーニング(生まれつきの病気を出生後すぐに発見・治療することで、のちの神経障害や突然死を防ぐために行う検査)や、新生児聴覚スクリーニング検査(難聴の有無を早期に発見するために行う「耳の聞こえ」の検査)にも携わっています。
大学病院における高度な診療を支えるために、今後も検査のスペシャリストとしての専門的な知識や技術を活かし、より一層、周産期医療に貢献できるよう努力していきたいと考えております。
MSW(医療ソーシャルワーカー)
周産期は女性とその家族のライフステージにおいて、妊娠出産を経て親子が出会い、家族としての物語が始まる大切な時期です。短期間で心理社会的状況は大きく変化し、予期しない困難に直面する時期でもあります。「私が子育てできるのか自信がない」「赤ちゃんが小さいと聞いたけど、無事に生まれてくれるかしら」「出産にどのくらいお金が必要なのか、その後の生活も心配」など様々な相談があります。ソーシャルワーカーが個別に話を聴き、安心して妊娠・出産・子育てができる環境づくりのための相談支援をきめ細やかに行います。
妊娠・出産期の支援
面接を通して妊娠期の気持ちや困りごとを丁寧にお聴きします。保健師と連携し、妊婦訪問や妊娠中に参加できる各種事業の紹介など、出産に向けてこころと体の準備を支援します。
また休職が必要となった場合の傷病手当金、出産費用や出産育児一時金、育児休暇等、経済面で利用できる制度を情報提供します。
子育て期の支援
家族形態の変化により、産後のお世話や子育てを家族だけで担うのは難しくなってきています。「産後の心身のケア」、「子育て支援」、「子どもの成長発達に応じた相談窓口」として保健師との連携や、ファミリーサポートセンター等地域で利用できる社会資源の紹介を行います。
また、家族が安心して新たな生活がスタートできることを目的とし、家族の意向を踏まえ、医療的なケアが必要な場合は訪問看護師等の在宅医療スタッフ、成長発達に不安のある場合には保健師、福祉の相談員等、関係機関と調整します。
臨床心理士/公認心理師
妊娠・出産は女性にとって、大きなライフイベントのひとつであり、体や生活の変化から、心身ともにデリケートでストレスを感じやすく、不安や悩みが出てくることがあります。「お母さん」という新しい役割を得る一方で、失う役割もあり、葛藤もあるかもしれません。また、思い描いていた妊娠や出産とのギャップもあるかもしれません。揺れたり渦巻いたりする気持ちをなかなか人に伝えられず、ご自身で抱えて、戸惑ったり苦しい思いをされることもあると思います。赤ちゃんが育っていかれる中で、お母さんもお父さんもそれぞれのペースで「お母さん」・「お父さん」になっていかれる、新しい家族のあり方や出会いをサポートさせていただいています。
周産期だけでなく、これから子育てをしていく中で、さまざまな場面で臨床心理士や公認心理師のサポートを受けることができます。周産期センターの心理士は、初めて出会う心理士かもしれません。赤ちゃんやお母さん、ご家族を支えることは、その後の子育てやお子さんの育ちを支えることにつながると思っていますので、まず、「相談してよかった」と感じていただけるように努めます。
お母さん・お父さんだけでなく、赤ちゃんを迎えるための治療中の方や、ご家族のお話をお聴きすることもできますので、お気軽にお問合せください。お話をお聴きし、こころに寄り添うことで、少しでも不安が和らいだり、お気持ちの整理ができるようお手伝いさせていただきます。
産科/婦人科外来・病棟でのかかわり
妊娠が分かった時、喜びや不安、驚き、戸惑いなど、湧き起こる感情は人によってさまざまで、妊娠中の経過によっても変化することがあります。ご自身の体調の変化や、おなかの赤ちゃんが育っていく様子、パートナーやご家族との関係、出産に向けた準備や出産後のことなど、さまざまなご心配も出てくるかもしれません。妊婦健診や外来受診の前後でのカウンセリング、入院中の方は病室を回らせていただき、ベッドサイドや個室でお話をお聴きします。
また、出産後、子育ての始まりの場面では、赤ちゃんを愛おしいと思う気持ち、不安、心配、戸惑い、時にはイライラなど、さまざまな感情が湧き出てくることがあります。入院中はもちろん、産後健診などでお話をお聴きすることもできますので、医師や医療スタッフにお尋ねください。
NICU・GCUでのかかわり
NICUやGCUを回らせてもらい、赤ちゃんや面会にいらしたご家族にお声がけさせていただいています。赤ちゃんにいっしょに声をかけたり、反応を見守りながら、何気ない会話にホッとしていただいたり、さまざまな感情やお気持ちを安心して出せる場でありたいと思っています。面接室など落ち着いた場所でゆっくりお話を聴かせていただくこともできますので、ご希望の方はお声がけした際に申し出ていただくか、医師や病棟スタッフにお尋ねください。
病棟保育士
総合周産期母子医療センターに病棟保育士が配属されました。
主にNICU/GCU病棟で入院している赤ちゃんの発達支援、保護者の方やきょうだいへの支援を行っています。

発達支援
病気を持って生まれた赤ちゃん、小さく生まれてきた赤ちゃんも日々、成長発達をしています。その中で、一人ひとりの赤ちゃんに合わせた発達を促すため、触れ合い遊びやタッチケアを取り入れた遊びを提供しています。また、NICU/GCU病棟に入院をした赤ちゃんは、生まれて直ぐに家族との分離を余儀なくされます。私たちは、抱っこや遊びを通して、赤ちゃんが愛着を維持できるように関わっています。
家族支援
面会時に家族の皆様に、病棟での赤ちゃんの様子をお伝えし、困っていることや不安なことがないか伺っています。適宜、病棟スタッフで赤ちゃんに統一した関わりができるように、頂いた情報を共有し、医療スタッフとも連携しています。
34週以降の赤ちゃんは足型をとっています。作った作品は、皆様にお渡しています。また、亡くなった赤ちゃんとその家族には医師や看護師と一緒にグリーフケアも行っています。
きょうだい支援
生まれてきた赤ちゃんと退院して帰って来る日まで会えないまま毎日を過ごしている、きょうだいにキワニスドールを用いた支援を行っています。真っ白な人形に、きょうだいがお絵描きをして世界に一つだけの人形を作ります。作った人形を生まれてきた赤ちゃんの代わりにして、オムツ交換やミルク、抱っこをするなどして遊んでもらい、赤ちゃんがお家に帰って来る日を待ってもらいます。また、両親と一緒に面会に来ても病棟には入れないため、病棟保育士が病棟外で一緒に遊んで待っていることもあります。
赤ちゃんも家族もみんなが笑顔になって帰れるような支援を行っています。
“み~んな笑顔にな~ぁれ!!”