私たちがサポートします Job Description
小児外科
現在、4名の医師で診療を行っています。
小児外科で診療しているのは、頚部・胸部・腹部・体表の領域で、主に横隔膜、消化管、泌尿生殖器、腹壁等の異常に対応しています。代表的な疾患は、先天性横隔膜ヘルニア、先天性食道閉鎖、先天性腸閉鎖、鎖肛(直腸肛門奇形)、先天性腹壁異常(腹壁破裂など)などで、いずれも、手術をしなければ普通の生活が困難で、成長・発達も望めない疾患です。
出生前に診断されて生まれてくる場合も、出生後に診断が明らかとなった場合も、小児科の主治医と協力しながら、将来のQOL(生活の質)を見据えた外科治療を行います。
新生児手術数の推移
年によって、疾患が偏ったり、数の増減が大きかったりするのは、新生児手術の特徴です。2019年に過去最高の27例の手術があり、以降は下図のように推移しております。
小児心臓外科
当科は山陰地方で唯一、先天性心疾患に対する外科治療を行っています。
当科は島根大学医学部附属病院循環器外科内に、藤本欣史先生を中心に設立され、2013年に第1例目の手術を行って以来、数多くの先天性心疾患をお持ちのお子さん達の治療を担ってまいりました。その後の2018年11月に、2代目の術者として中田朋宏が着任し、引き続き小児心臓外科手術を行っております。
我々は、先天性心疾患を持つ患者さん達を、新生児から成人期まで(主に山陰地方から)広く受け付けていて、小児科循環器グループの先生方と協力しながら、検査やカテーテル治療、手術などを幅広く行っています。
先天性心疾患を持つ赤ちゃんは、お母さんのお腹の中にいる時から病気が分かっている(出生前診断)ことも多いですが、産まれてから初めて心臓に病気があることが分かることもあります。どちらの場合でも、お生まれになった後に、NICUやGCUに入って頂きます。その後で様々な検査を行って、ご本人さんの状態を正確に把握し、そのまま手術になる場合もありますし、一度退院してから体重が大きくなるのを待って手術になることもあります。
心臓の手術は大きく、正常な血液の循環にする手術(心内修復術)と、その前段階の準備手術(姑息手術)に分かれます。お子さんの体格や病気の内容などを考慮して、産科、小児科循環器グループ、小児科新生児グループ、麻酔科などの各先生方、臨床工学技士、看護師のみなさんなどと密に連携を取って、一人一人の患者さんの治療方針を決め、また良質な外科治療を提供できるよう、心がけております。
また実際に手術となる場合には、小さな赤ちゃんの心臓の病気でもあり、模式図なども使用しながら、なるべく丁寧な説明を心がけております。先天性心疾患はバリエーションが多いため全て網羅出来ている訳ではありませんが、代表的な先天性心疾患と、手術に関しては、当科ホームページにも詳しい説明を記載しておりますので、よろしければ、こちら(病気と手術について)もご参照頂けると幸いです。
人工心肺を使用する心臓手術は必ず手術室で行います。
一方で人工心肺を使用しなくても良い手術があり、特に超出生低体重(1000g未満)などの未熟児の動脈管開存症の手術は、手術室に移動すること自体が患者さんのストレスになり、リスクになる場合があります(「動脈管開存症」に関しての説明は、同じく当科ホームページをご覧ください)。このため、患者さんの状態によっては、手術室には移動せず、麻酔科の先生、手術室の看護師さん達にも来て頂いて、NICUの中で手術を行っております。写真は700g台のお子さんの動脈管開存症の手術中の写真です。
小児脳神経外科
小児脳神経外科の診療対象は、脳や脊髄など中枢神経系先天奇形(水頭症・二分脊椎・頭蓋縫合早期癒合症・キアリ奇形など)、低出生体重児に合併する脳室内出血後水頭症、モヤモヤ病や脳動静脈奇形などの脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷、脳膿瘍などの外科治療です。内視鏡を用いた手術も積極的に行なっています。また、出生前診断されている場合には、生まれる前から産科の先生方と一緒に介入しています。
「手術で命と発達を守る!」ことを目標に日々頑張っています。
眼科
眼科の診察について
子供が小さく産まれた場合、眼球の発達が未成熟で、網膜の血管が異常増殖する未熟児網膜症という病気を中心に診察を行っています。網膜の血管は胎生14週ごろから発達を始め、36週ごろに完成しますが、早産や低出生体重児の場合、母体内と環境が変化すると未成熟な網膜から未熟児網膜症を発症してしまいます。そのため、眼科では適応のある児に1週間に1〜2度の眼底診察を行っています。診察は眼科医の診察の他にも、乳児用の広画角眼底カメラのRetCam3を用いて定期的に記録に残し、細かい変化も見逃さないようにしています。
眼科の治療について
未熟児網膜症を発症し、重症である場合は治療が必要になる場合があります。眼底のレーザー治療や抗VEGF薬の硝子体内注射といった治療を行います。治療後も、視力の発達のために眼科での定期的な通院をしていただき、視力発達のサポートをします。
耳鼻咽喉科
新生児聴覚スクリーニング
「新生児聴覚スクリーニング」をご存じでしょうか。
生まれたばかりの赤ちゃんの脳は、まだ音や言葉がよくわかりません。耳から入る音や言葉の刺激で発達し、だんだんと言葉を理解し、言葉を発することができるようになってゆきます。脳がよく発達するなるべく小さいうちから音の刺激を入れることが大切です。
新生児聴覚スクリーニングは、生後直後の赤ちゃんに音を聞かせたときの脳波を測定することで、まずはおおまかに聞こえているかどうかを確認するものです。これで「要再検(REFER)」という結果が出た場合、検査がうまくできていないのか、本当に聞こえないのか、さらに時間をかけて調べてゆきます。お子さんが難聴である疑いが強い場合、治療できるものであれば治療をお勧めします。すぐには対処しにくいものであれば、聞こえをサポートするために補聴器や人工内耳を使うことで脳の発達を促すことができるかもしれません。お子さんの状態に合わせて、提案させていただきます。ろう学校の先生とも連携していますので、必要があれば紹介させていただきます。
島根県では新生児聴覚スクリーニングの必要性は多くの人にご理解いただき、受検率は97%を超えています。(平成30年度)今後は、要再検になった場合のフォローアップを充実させてゆきたいと思っています。
なお、新生児スクリーニングの結果が、「通過(PASS)」の場合でも、後から難聴が判明する場合があります。ご家庭で音に対する反応が変だなと思うときや、乳幼児検診で受診を勧められたときにも、ぜひご相談ください。